1 June 2017 - 31 August 2017 

Ola Rindal

北欧をルーツに持つオラ・リンダルは、自然の光、影、家族、植物、水、空などを好んで被写体に選びます。 日常のなかに潜む美を丁寧に観察し、形式に囚われない独自の審美眼によって対象を軽やかに切り取ります。そうして生まれた彼の写真作品は、穏やかさと同時にどこかメランコリックな雰囲気を纏い、形容しがたい詩情を感じさせます。抑制の効いた淡い色彩と端正なそのスタイルは、普遍的かつ同時代的な価値観を私たちに呈示します。

今回のエキシビジョンでは、オラにとって馴染みのある日本で撮影された"TOKYO FLOWERS"というシリーズをご覧いただけます。路傍にひっそりと咲く花を中心に、彼の家族など日常的な光景を収めた写真によって構成されています。普段日本に住む私たちが見過ごしがちなそういった対象に対し、"異邦人"である彼は親密さのある眼差しを向けます。決してドラマチックではありませんが、柔らかな光によって写し取られた彼の写真からは、懐かしさと共に過ぎ去っていく刹那的な時間の儚さを気づかせてくれます。




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Interview

——まず、写真を始めたきっかけを教えてください。

私はいつもイメージ・メイキングをしたいと思っていました。ですので、カメラを手に入れたとき、とてもしっくりきました。まもなく暗室や気の合う友人を持ち、それ以来写真作品を作っています。


——どのように写真を学ばれましたか?

オスロで2年間写真学校に通っていました。その後、スウェーデンのヨーテボリ大学へBAを取得するために3年間通いました。


——影響を受けた写真家、もしくは写真以外でも影響を受けたものはありますか?

様々な異なったスタイルの写真家からインスピレーションを得ています。はじめはスカンジナビア、その後はアメリカのシーンです。リー・フリードランダーやウィリアム・エグルストン、ユルゲン・テラーやヴォルフガング・ティルマンスといった写真家から。また、最近は日本の写真家からも影響を受けています。


——現在はパリを拠点に活動されていますね。パリを選んだ理由は何でしょうか?


パリには語学や文化を学ぶために来ました。しかし、これほど長くいることになるとは思っていなかったですね。既に15年ほどでしょうか。パリにいることは愛憎入り交じった関係です。わたしたちはどこかに住まざるを得ませんから。


——雑誌「Union」での仕事やご家族など、日本に馴染みが深いように思います。日本についてはどのような印象をお持ちですか?

日本の雰囲気がとても好きです。行く度に心を動かされます。日本にいるときは自分の故郷のように感じています。


——日本で注目している写真家はいますか?

日本の写真のシーンに特別に詳しい訳ではありませんが、アラーキーや森山大道、深瀬昌久には影響を受けました。川内倫子も好きです。


——今回のチャーミングな作品"TOKYO FLOWERS"は東京で撮られたものですね。道ばたに咲く花が繰り返し出てきます。こういった被写体は、日本に住む私たちにとって見過ごしがちなものでもありますが、カメラを向けた理由について教えてください。

プライベートで作っている作品のほとんどは日々の観察がベースになっていますが、当たり前の日常以上のことを見出そうと努めています。ある時、東京の街を歩いていると道路の割れ目から生えている花を見つけました。庭に咲いている花から種が飛んで来て道に辿り着いたことを想像したとき、その何気ない美しさに感銘を受けました。


——被写体のさりげない表情の中から美しさを発見し、それを写真に留めることがあなたの仕事の根幹にあると思います。あなたにとっての美しさの定義を教えてください。


美を定義することは難しいですね。おそらく、私にとって美しさとは、シンプルであること、光、距離感、それとある種の物悲しさでしょう。


——ファッションとプライベートの双方で撮影されていると思いますが、意識することに違いはありますか?


ファッション写真は観察のみでなく、もっと演出的です。また、ファッション写真はチームで作品を作るので、そこもプライベートで作る場合と異なります。


——ポートレイトもランドスケープも自然な光が特徴で、穏やかな印象を受けます。写真を撮る際の光に対してどのようなこだわりがありますか?


観察者として光を探しにいく、という表現が近いかもしれません。特に手法を限定しているわけではなく、全て本能と感性に任せています。


——既に数冊の写真集を出版されていますね。本という形で写真を見せることに対してどのような考えをお持ちですか?


自費出版で数冊の写真集を作ったことがありますが、出版社と仕事をすることもあります。自費出版では自由に作ることができるのですが、どちらかというと編集者と一緒に本を作ることが好きです。最近Livraison Booksという出版社から"PARIS"という写真集をリリースしました。


——あなたの制作のインスピレーションは何でしょう?


私のインスピレーションは周囲にあるものや人との出会いですね。


——ノルウェーの写真に関する動向やおすすめの写真家を教えてください。


90年代にトム・サンドバーグと一緒に仕事をしていました。彼は数年前に亡くなりましたが、ノルウェーにとって重要な写真家になりつつあります。

OlaRindal

オラ・リンダル
オラ・リンダルは1971年生まれ、ノルウェー出身のフォトグラファーです。スウェーデンの大学で写真を学び、現在はパリを拠点に活動しています。
「032c」「PURPLE FASHION」「APARTAMENTO」「UNION」など、ファッションやライフスタイルに関わる多くの媒体で国際的に活躍しています。また、クライアントワークのみでなくパーソナルな領域でも積極的に作品を発表し、これまでに多くの写真集を刊行しています。